含み益は現金ではない|新NISA時代に生活水準を上げてはいけない理由

資産形成

  

「NISAの含み益が増えてきた。そろそろ少し贅沢してもいいかな…」

そう感じたことはありませんか?実はこれ、長期投資家が最も陥りやすい危険な罠です。

Bloomberg社が報じたところによると、新NISA制度をきっかけに株高・円安の恩恵を受けたZ世代を中心に、高級品を買い求める動きが広がっているようです。

【出典先】
NISAで潤う「勝ち組」Z世代、高級消費で富を誇示-株高の陰で広がる若者の資産格差(出典先:Bloombergより)

  

気持ちはよく分かります。証券口座の評価額が増えていくのは嬉しいものですし、「自分の資産が増えている」という感覚は自然と生まれてきます。

ただ、その感覚には大きな落とし穴があります。この問題を根本から理解するきっかけになったのが、リベラルアーツ大学・両学長の『お金の大学』です。お金の基本から資産形成の考え方まで、非常に分かりやすくまとめられた一冊です。

  

インデックス投資家は株高&円安による恩恵を受けている

コロナショック以降、米国を始め先進国を中心に株高の長期トレンドが続いています。

同時に円安効果も相まって、円建てでは株価上昇以上の値上がりになっているケースも珍しくありません。

新NISAが始まった2024年以降、米国株・全世界株のインデックス商品へ積み立て投資をされている方の多くは含み益が出ている状態でしょう。老後の資産形成を目的に始めた方にとっては、まさに順風満帆な状況です。

  

含み益≠現金|勘違いしやすい落とし穴

しかしながら今の株高&円安によって評価額が増えていくと陥りがちなトラップがございます。それが「自分自身の総資産が増え続けている」と思い込んていくことです。

証券口座の数字は確かに増えています。ただしそれはあくまで「含み益」であり、現金ではありません。

含み益とは、投資元本を運用することで生まれる未確定の利益のこと。利益確定していない以上、現金化されていないという現実を忘れてはいけません。

もし相場が一転して下落トレンドに入ったとき、一度上げてしまった生活水準を下げることは非常に難しいです。評価額に連動して生活水準を変えていくことが、いかに割に合わないかが分かります。

    

キオクシア社が典型例

インデックス投資ではありませんが、含み益に踊らされた典型例として「キオクシア社」が挙げられます。

米国発祥のAIブームを背景に半導体への注目が高まる中、国内半導体メーカーのキオクシア社は2026年4月の約20,000円台から100,000円超へと株価が約5倍以上に急騰。SNSでも連日話題になり、まさに「祭り状態」。

SNSでも当時キオクシア社の株価のことで話題になり、正にイケイケドンドンな祭り状態へ。今回のBloomburg社のニュース記事のように、高級な買い物を通して映えを意識される方が増えておりました。

出典先:キオクシアホールディングス(株)の株価チャート(『Yahoo!ファイナンス』より)

しかしその後、AIブームの沈静化と大きな訴訟問題が重なり株価は急落。投稿時点では1株あたり46,500円まで下落しています。

レバレッジをかけて投資していた一部の方は資産を大きく減らし、消費者金融から借金するケースまで出ているようです。

SNSではキオクシア社の話題が減って落ち着くようになりました。

景況に左右されると、比例して株価にも大きく影響しやすいため、私は現在も個別株には投資しておりません。個別株投資は非常に難しく、メンタルも左右されやすく性に合わないからです。

  

  

判断基準は「総資産」ではなく「家計予算」

総資産が増えると気持ちも大きくなり、大きな買い物に手が伸びやすくなる。その気持ちは十分理解できます。

ただし、株高・円安が永遠に続くことはありません。いずれはリセッション(不景気)を迎え、株安・円高によって評価額が長期で減り続ける局面が来ることも想定しておく必要があります。

評価額が下がり続けるほど、気持ちはトーンダウンして恐怖感に変わります。大きな買い物は抑えるようになり、極端な節約生活になることだってあります。(貯金が少なかった時期は正にこのような生活を過ごしていました。)

景況で日常生活に左右されないためにも、普段から意識するのは総資産ではなく、家計管理における予算です。

  

▶︎ インデックス投資:老後生活における資産形成を目的に運用するもの

 →「数十年後の未来」のためであり、「現在〜直近1年後」のためではない

▶︎ 家計管理:日常生活にあたり、安定してお金のやりくりを行うもの

 →「現在〜直近1年間」のためであり、「数十年後の未来」のためではない

  

投資の運用成績に基づいて生活水準を変えていくことは本末転倒です。「なぜ毎月積み立てながら資産形成しているのか」という本来の目的を、常に忘れないようにしたいですね。

お金の正しい使い方・増やし方を体系的に学びたい方には、『お金の大学』が最初の一冊としておすすめです。家計管理から投資・保険・税金まで幅広くカバーされており、長期投資を続けるうえでの土台作りに役立ちます。

  

  

まとめ

新NISAでインデックス投資を運用されている方にとって、今の株高トレンドは恩恵そのものです。

ただ、今回のBloombergの特集が示すように、本来の運用目的を見失い、自分自身に奢り過ぎるようになり、含み益を当てにして生活水準を上げていくことには大きなリスクが伴います。

相場がどう動いても揺らがない家計の土台を作ること。それが長期投資を続けていくうえで、最も大切なことだと私は考えています。

  

【出典記事】
NISAで潤う「勝ち組」Z世代、高級消費で富を誇示-株高の陰で広がる若者の資産格差
(『Bloomberg』より)

  

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